AI業界ニュース
出典:Reuters、Rolling Stone、Billboard、Computerworld、Music Business Worldwide|2026年3月20日
音楽大手BMGがAnthropicを著作権侵害で提訴──Bruno Mars・Rolling Stonesの歌詞を無断使用
世界有数の音楽出版社BMGが、AIチャットボット「Claude」を開発するAnthropicを著作権侵害で提訴した。BMGはBruno Mars、Rolling Stones、Justin Bieberをはじめとする所属アーティストの歌詞が、Claudeの学習データとして無断で使用されたと主張しています。
Reutersの報道によると、訴訟は米テネシー州ナッシュビルの連邦裁判所に提起された。この裁判所は、2023〜2024年にかけてUniversal Music Group(UMG)がAnthropicを同様に訴えた場所と同一です。BMGはBillboardの取材に対し、Anthropicの行為を「甚だしい違法行為(egregious law-breaking)」と表現しており、AI企業に対する音楽業界の姿勢が一段と強硬になっていることを示しています。
訴訟の詳細|1曲あたり最大15万ドルの賠償請求
BMGは1曲あたり最大15万ドル(約2,250万円)の法定損害賠償を求めている。対象となるカタログにはBruno Mars、Rolling Stones、Justin Bieberなど世界的に知名度の高いアーティストが多数含まれており、賠償総額は膨大な規模に膨らむ可能性があります。
Music Business Worldwideによると、BMGはAnthropicの企業価値3,800億ドル(約57兆円)が「盗まれた著作物の上に構築された」と主張しています。この表現は、AI企業の巨額バリュエーションと著作権者への対価未払いという構造的な問題を鋭く突くものであり、今後の訴訟戦略においても重要な論点となるでしょう。
Anthropicの著作権訴訟の現在地
AnthropicはすでにUMGから同様の著作権侵害訴訟を起こされており、今回のBMGの提訴はAnthropicにとって音楽業界からの2件目の大型訴訟となる。UMGの訴訟は2023年に提起され、Claudeが歌詞を出力できることを具体的な証拠として示していました。
AI学習における著作権問題は音楽業界に限らず、新聞社・出版社・画像クリエイターなど幅広い分野で訴訟が相次いでいます。Anthropicは公式にはフェアユースの立場を示唆してきましたが、複数の大手権利者から連続して訴えられる状況は、同社にとって法的リスクが着実に積み上がっていることを意味します。
AI業界への影響──著作権訴訟の波が加速
BMGの提訴は、音楽業界がAI企業に対する法的攻勢を本格化させている象徴的な動きである。BMG、UMGに加え、ソニー・ミュージックやワーナー・ミュージックなど「ビッグ3」すべてがAI関連の著作権問題に厳しい姿勢を示しており、今後さらに提訴が続く可能性があります。
特に注目すべきは賠償請求の算定根拠です。1曲15万ドルという法定損害賠償が認められた場合、数千〜数万曲規模のカタログを持つ権利者の請求額は数十億ドル規模に達し得ます。これはAI企業のビジネスモデルそのものに影響を与える判例となる可能性があり、OpenAI・Google・Metaなど他のAI企業にとっても無視できない先例となるでしょう。
Aitly編集部の見解
BMGの訴訟は、AI学習と著作権の境界線をめぐる業界全体の分水嶺になり得る。Anthropicの3,800億ドルの企業価値が「盗まれた著作物の上に成り立っている」というBMGの主張は、AIバブルとも言われる現在の市場に対する根本的な問いかけです。
AI利用者の視点で見ると、訴訟の帰趨はAIサービスの機能制限やライセンスコスト上昇、ひいては料金改定にもつながり得ます。今後のナッシュビル連邦裁判所の判断は、AI業界の未来を左右する重要な指標として注視すべきでしょう。
関連する動き
UMG v. Anthropic訴訟(2023年〜):Universal Music Groupが先行してAnthropicを同裁判所に提訴。歌詞の無断学習・出力を問題視。BMGの訴訟はこの流れを引き継ぐ形となっています。
文:Aitly編集部|2026年3月20日